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2011年5月 9日 (月)

宇多丸×長谷正人トークショー@ジュンク堂新宿店

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4月29日、長谷正人氏『映画というテクノロジー経験』刊行記念イベント、宇多丸(RHYMESTER)×長谷正人(早稲田大学教員)トークショー「映画批評というパッション」に行ってきた。


刊行記念イベントということで、本の内容に沿った話が主だと思っていたのですが、それ以外にも宇多丸師匠の子どもの頃の映画体験だとか、批評する上で考えていることなどが聞けてとてもおもしろかったよ!



レッドブル3本持ちの宇多丸師匠、そして長谷正人氏登場。
なんだかひどく緊張しているご様子の宇多さん。初めに、なぜこの二人でのトークショーになったかというとこから。


3月19日の『TBS RADIO ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』(以下タマフル)で放送された「春の推薦図書特集! feat.佐々木中」にて宇多丸氏が長谷氏の本『映画というテクノロジー表現』を取り上げて、それを人づてに聞いた長谷氏が担当編集者にイベントやろうよ!と声をかけて、そこからはトントン拍子で決まっていったという経緯みたいです。どうやら今日が初対面のよう。



長谷氏は、タマフルの名物コーナー、「シネマハスラー」での映画批評を大変評価されているようでした。まず最初におおまかなあらすじ、次にメールで観た人の感想、賛否を紹介、それから自分の批評を行うのだけど、メールで賛否を紹介してそれに対して自分はこう思うよってのがすごい、と。最近だと『ヒアアフター』の回が良くて、この映画を観たリスナーの感想はみんな困惑してる感じだったんだけどそれを踏まえ、なぜ困惑してるのか→自分の解答を示す、というようなすごくわかりやすいし共感できる批評だったと長谷氏。


うむうむ。たしかにぼくがシネマハスラー聞く理由って「俺はこう思ったんだけど、あるいはここがわからなかったんだけど、宇多さんはどう思ったんだろう」って答え合わせ的に聞く動機はたしかにあって、そしてその答えを大抵毎回ちゃんと示してくれるのだ。普通の映画批評って、映画詳しい人が「この映画はこうだ!」って上からドカーン!というのがけっこうあったりして、まあそれでもそうなんだーって思ったりもするけど、シネマハスラーの方がより腑に落ちる、あるいはなるほど!と手を打てる打率が格段に高い。自分の疑問点やなっとくいかなかった部分によりピンポイントで説明してくれる。



次に、宇多丸氏が毎週批評をすることについてどう考えているのか、というようなことを話してくれて「毎週毎週どうやって映画を説明したものか悩んでいる。映画を分析、説明するとはなに?って話しで」と。また、蓮見表層批評と町山分析批評の両極北の狭間で引き裂かれる思いがある中で批評してるとも言っていて、宇多丸さんすげー真摯だなー、ってちょっとその真面目な姿勢に涙出そうになりましたよ。まあ、シネマハスラーに対するこの真面目っぷりは聞いていれば伝わってくることで、原作があるものは原作をすべて読み、続編だったらその前作も観た上で(最近あえて観ずに批評する実験シリーズとかやってるけど)、最近は大抵同じ映画二回以上行った上で臨んでいますからね。この辺りは町山イズム継承って感じですか。


二回観に行く理由については、最初に観た印象をもう一度確かめにいくため、と言ってました。本当に感じたことが合っているのか、みたいなことを言っていたような(ごめん、うろ覚え)。


あと、みんながあまりいい評価していない映画だったり、逆に評価されている映画で、自分がそれとは違う印象だった場合、この映画はこれこれこうだからそれは間違ってる!みたいな形で自分の意見を言いたくなる事もあるけど、高圧的にいうこと、それって映画のいろんな見方を殺してるんじゃないか?という葛藤があるとも語っていました。


で、その辺りどうやって批評しようか悩んでいる中で、長谷氏の『映画というテクノロジー表現』に出会いヒントをもらえたような気がした、と。



ここまでがだいたい前半戦。熱いぜ、来てよかったぜ!!




では後半戦。

後半戦は、宇多丸氏の子どもの頃の映画体験だったり、『映画というテクノロジー表現』のの中に1章割いてもある宮崎駿監督の話とか。



宇多丸氏が初めて親に「二回目連れてけ!」とお願いした映画は『長靴をはいた猫 80日間世界一周』。「宮崎駿監督が参加している、じゃないやつでこれが1だったら先見の目アリって言えてたのにー!」と悔しがってた(笑)。

・『2001年宇宙の旅』の最初の30分で号泣。

・『スターウォーズ』観た後は、「なぜ2時間1分であんなに素晴らしい体験が出来るのに、俺は今退屈な授業を受けているのだ!」と机に向かって悶々としていたらしい。しかも上映時間も頭に入っていたみたいで、今11時ってことは、あの場面だな、と脳内スターウォーズ。これが小3の出来事ですよ!?

とか、あと子どもの頃はよく親に読売ホールとかでアウシュビッツとかの記録映画見させられてたとも言っていて、ほんとこのあたりは宇多丸氏の映画エリートっぷりに脱帽。早熟っすねえ。子どものときに『2001年宇宙の旅』で号泣とかも子どものときって言ってたからな。
あ、でもそのとき長谷氏が言っていたことだけど、当時の資料とか読むと『2001年宇宙の旅』は子どもにすごいウケがよかったみたいですね。たしかに言われてみれば子どもはわからなくても何故?なんて考えないからなあ。宇宙船だ、すげー!だし、スターゲイトだ!すげー!だし。


この話聞いて思ったのは、おもしろい描写をおもしろい、と素直に思う事の難しさ、というか、見たままをそのまま受け取ることは知識がついたりするにしたがって難しくなってくるのかなあってこと。例えば、映画に限らず、なんだこれ!?って衝撃的な描写が出てきたときに、今はもうすぐにこれはなんのメタファーなんだろうってに考えてしまい意味付けして、理解した気になる傾向がすごくある。でもこれって理解した「気になっている」というだけなのかもしれないよなー。



このあとはヒッチコックにハマった話とかありつつ宇多丸トラウマ映画館の話は一通り終わり、続いて長谷氏の映画体験なのですが……、「ない」らしいです。正確には子どものころはあまり観ていなかったとかで映画に触れるようになったのは、大学のとき知り合いが映画撮っててそこで、それまで映画ってどうやって撮ってるのかわからない、未知のもの、すごく難しいものだと思っていたものが話を聞いたら素人でも作れるとわかって(これこそ映画というテクノロジー表現!)、映画作りにはいっていったらしいです。そして蓮見批評に出会い、ハマっていった、と。



最後は再び映画批評とは、という話に戻り、約1時間半のお二人のお話終了。



なんだか宇多丸氏のパートがすごい多いけど、いやたしかに主に宇多丸発言注目していたのもあるけど、実際に話してる時間も宇多丸多かったので。




いやあ、濃かった!そして面白かった!

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