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2016年5月30日 (月)

トーハク『VR作品 洛中洛外図屏風 船木本』&「黒田清輝展』に行ってきた(続き)

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また更新が……っていっても待っていた人がいたかどうかわからないけど。

というか今調べたらもう会期終わっとるやないか!

……まあいいや、書こう。ここは個人的な備忘録。時間が経った時の自分の記憶ほど信頼ならないものはねえからな。



午後、平成館へ行き黒田清輝展。平日なのに結構人が入っている。年齢層は60オーバーで割と高め。結論からいうと、この展示、見せ方がすごく良かった。黒田清輝の作品が時系列に並べられているのだけど、ある一角に当時世界で流行っていた、第一線の作品はこんな感じでしたよという作品が並べられていた。しかもその第一線の作品群が本当にトップクラス、西洋美術の教養がほぼない俺でも知ってる画家や聞いたことのある作品、ミレーとかモネとか。黒田清輝の作品を見た後にそのコーナーを見ると、あるいはそこを見た後で黒田清輝の作品を見ると、黒田がどういったものに影響を受けて描いていたのかなんとなくわかるし、明らかに元ネタだ! という作品もあった。どこをどう取り入れて、あるいはどう変えたのかが分かるのは面白い。日本に西洋美術を根付かせるための工夫、日本でも受け入れられるように日本画のモチーフや作風を取り入れつつこれは描いているんじゃねえかな? といったようなことを感じられる作品があったりもする。この黒田清輝展の白眉な部分でした。

晩年の黒田清輝は美術界でとても偉い人になり、多忙で作品を作ることができなくなっていたらしく、実際に展示されている後期のものも未完や構想段階のものが多い。そのことは本人自身も歯がゆく思っているらしく、そう言った文章もあるくらいで(黒田が五〇歳の時に残した文章で展示されているんだけど、この言葉がまたすごいのだが)、後期は正直物足りなさを感じたんだけど、留学していたパリから帰国した直後の作品のあたりはとても良かった。印象派を大胆に取り入れたやつとや、逆に和洋折衷? のような日本でも受け入れられるように西洋画と日本画のいいとこ取りの作風をしていたり。そういう意味で有名な「湖畔」は西洋の技術や潮流をそのまま持ってくるのではなくて、当時の日本でも受け入れられるように落とし所を考えて作られているような作品に見えた。だから日本でも有名な絵になったのかな、とも思ったけど時系列的に間違っているかもしれない。そういう印象を抱いたのは、事前に聞いたタマフルの影響かもしれない。でもまあフランスから帰国して、ある年数まではいかに日本の美術界を西洋のレベルまで押し上げるか、ということに黒田清輝はかなり注力し、模索しまくっていると感じた部分は多くあった。いろんな画風を試したり、そこに日本のスタイルも取り入れたり。白馬会を作ったのもそのためだろうし。日本ではまだ西洋画って馴染みがないものだったらしく、そのままじゃ全然受け入れられなかったみたいだからな。黒田が描いたある裸婦像も芸術と見られず、公序良俗を乱すなんて文句つけられたというエピソードもあるくらいだし。


黒田清輝、壁画はほとんどやっていないみたいなんだが、関東大震災で倒壊する前の東京駅、皇室専用の玄関口の壁に描いていたものが復元されていた。その題材が漁師とか工場で働く人とか炭鉱とかをテーマにした作品で、どうもミレーなんかの影響で農民や庶民を題材にするのが好きらしかったのだけど、皇室専用の玄関の壁に描くテーマを労働にするって意外というか大胆だし、それがよく許可されたなとも思った。


そして黒田清輝展、最後を飾るのは、場所的にも大きさ的にもこの展覧会の目玉、「智・感・情」という三連の作品がドーン! 三人の裸婦像で人物の縁取りに金が入っている。その金がなんかすごい効果を出してる! 気がする! という小学生レベルの感想だけど、この金がいいのだ金が。へーここで金を使うのか! と。


この作品、タマフルに出演していたこの展覧会のキュレーターでもある松嶋雅人さんによると、コンクールかなんかに出品したけど師匠であるコランからダメ出しされて、それが原因かわからないけど、以来一度も表に出すことなく封印していた作品だったみたい。だから黒田的にはあまり納得していない作品なのかな? とも考えられるのだけど、しかし! 黒田清輝展に展示されている作品の中でも、最もオリジナリティを感じる、他ではあまり見たことがないと思ったのはこの作品で……、というのもやっぱりタマフルを聞いた影響かもしれない。けど、やっぱ異質だと思うわ、他の作品と比べてこれは。

さすがにラストに持ってきてるだけあって、松嶋さん曰くこの作品が映えるように照明なんかもかなり工夫されたそうで、もしまた黒田清輝展があったら「知・感・情」という作品はまた見られるかもしれないけど、今回の「知・感・情」は今回の展示でしか見られない! そういうこと。もう開催期間とっくに終わってるけどな! 


そんなことをタマフルでも言っててなるほどなーと。展覧会でやるってことはそういうことなんだよな、今回の黒田清輝と当時の世界レベルの作品を並べるっていうのもそうだけど、そこに並べられている作品がどこかでまた見れたとしても、その展覧会独自の見せ方、展示の仕方っていうのがあって、それはそこだけでしか感じることができない何かがそこに現れてる可能性がある。いい展覧会っていうのは作品のそういうのを引き出せているのかもとか思った。とりあえず今、グーグルの画像検索で「智・感・情」検索してみたけど、ぜんぜん違う! 俺の見たのはこれじゃない! これだけだけどこれじゃない。 まったく別の作品みたいだわ。当然だけど実物はもっとすごくて、キュレーターの人もすごい!



だからさ、まあ展覧会でもライブでも映画でもなんでもいいんだけど、行きたいと思ったらこういうのは行っておかないとダメなんだよな。二度と見られないかもしれないんだから! 


ということで、やっていることを知ってから時間ができたら行こうかなーと思っていたキャノンギャラリーで今やっている「九龍城」の写真展に俺は今から行ってきます。


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